寄付やボランティアは、定款に記載された会社の「目的」の範囲内の活動か?
もくじ
定款に記載する目的
株式会社や合同会社などの会社の
“定款”には
その会社の“目的”を
必ず記載しなければなりません。
(会社法27条1号)
例えば、
食料品を製造販売するような
商店を経営する会社であれば
食料品の製造および販売 ならびにこれに附帯する事業
などと記載するのが
一般的でしょう。
また、会社は
その定款で定められた
“目的”の範囲内においてのみ
権利能力を有する。
(つまり売買契約などの契約や
その商売を行えるということ)
とも法律で定められています。
(民法34条)
ちなみに、なぜこのように
目的を定款に記載するかというと
株式会社であれば
出資者たる株主に
「我社はこんなことで
お金を儲けたり
お金を使ったり
する会社ですよー!」
と約束するためのものと
考えていいでしょう。
寄付や慈善事業は目的の範囲?
そこでひとつ疑問が生まれます。
会社が、
その定款に記載した
目的の範囲のみでしか
活動できない
…となると
例えば、よくメディアで
ある会社が
災害被災地に寄附金を贈ったり
福祉事業にボランティアを派遣…
などの社会貢献事業などの活動を
したというような話題を
耳にしますが、
このような寄付やボランティアを
定款の目的に記載している会社は
かなり少ないのではないかと
思います。
でも、前述したように
会社は定款に記載された
目的の範囲のみで
権利能力を持ち
商売できるはずですし
せっかく出資した株主も
会社が儲けたお金を
どんどん寄付や
ボランティアなどに
使われてしまうと
株主が受ける利益や財産が
減ってしまうことにも
なりかねません。
はたして、
慈善事業や福祉事業など
社会貢献事業に
寄付やボランティアを
することを
定款の目的に
記載“していない”会社が
実際に
寄付やボランティアを
することは
ルール違反に
なってしまう
のでしょうか?
答えと結論
このような疑問も、そう言えば
行政書士試験受験生の時に
勉強した記憶が…☻
八幡製鉄政治献金事件
という有名な判決があります。
その事件も、
八幡製鉄という会社が
定款の目的に記載されて“いない”
政治献金をしたということで
それを「けしからん!」とした
株主が裁判で訴えた事件です。
裁判で示された結果は
寄付やボランティアも
(政治献金も)
定款に定められた
目的の“範囲内”である!
というものでした。
つまり
寄付やボランティアは
ルール違反じゃない
ということです。
その理由ですが
会社も、私たち人間と同じ
社会の構成員(社会を守る一員)であり
一見すると、定款の目的とは
関係がないものだとしても
人間が、災害が起こった時や
その他社会問題が発生したときに
社会の構成員として、
一定の活動や協力が求められるように
会社も、人間と同じように
期待され要請されている訳で
そのような
社会的な期待や要請に
応えることは、
人として、会社として
当然の事、当たり前のこと。
従って、社会に対して
当たり前ともいえる
活動をすることは
会社にとって
利益を生まないこと…
ではなく
会社の発展に必要なこと
ひいては
会社の目的の遂行に必要なこと
と言えるので
寄付もボランティアも
(政治献金も)
定款の目的に記載なかろうが
会社はその権利能力を有する。
というものでした。
まとめ
現代社会のおいて
企業が求められる社会的責任は
経済発展や経済的利益の
確保、増大だけではなく
“社会貢献性”
も強く求められるように
なりました。
そのような行為や活動は
社会の構成員として
当然に求められていると言えます。
ですから、
昨今では2030年までの
世界共通の目標である
SDGs(持続可能な開発目標)
や
が注目されているのでしょうね。
では、今日はこのへんで。