取締役報酬を株主総会でどうやって決めるのか!?について
もくじ
年度おわり・年度はじめ
新型コロナウィルス(の話題)が
猛威を振るう世の中ですが
時間は誰にでも平等に流れ
気が付けば3月ももう終わり
数日後には4月がはじまります。
株式会社などの法人は
事業年度(会社の一年)を自由に
定めることができますが
(※例えば、会社の一年を
2月11日~翌年2月10日
とすることも可能)
やはり、一番多いのが
小中高校を同じように
4月~3月を一年
とする会社です。
したがって、世間では
この3月~4月にかけて
やれ決算や人事や
と…忙ししくなる方々が
多いのでしょう。
ちなみに
弊社行政書士法人スマイルの
事業年度は12月~11月です。
そして、株式会社では
年度おわり・年度はじめの風物詩(?)
株主総会シーズンに
突入することになります。
取締役の報酬の決め方
年度が新しくなり
その株式会社の株主総会で
決めなければならないことに
取締役の報酬
があります。
取締役は会社の経営者ですので
例えば会社の従業員の方々の
報酬つまり給料は
経営者である取締役が決める訳です。
しかし、取締役本人の報酬は
誰が決めるかというと…
それは、ちゃんと
会社法という法律の361条に
定められており
取締役の報酬は
(定款で定めていないのであれば)
株主総会で
決めなければなりません。
仮に取締役の報酬を
定款で定めているとなると
その会社が
その年にどれだけ儲けようが
どれだけ赤字になろうが
原則として
定款で定めてある報酬を
取締役に与えるなければ
ならないことがあり
融通がききません。
※会社の儲けに応じて
取締役報酬を変更するなら
その度に定款の変更手続きを
しなければなりません。
そのため、多くの株式会社は
取締役の報酬を
定款で定めることはせず
株主総会で毎年決定する
のが一般的です。
どのように報酬を決めるべきか?
それでは、株主総会では
どのように取締役の報酬を
決めるのでしょうか?
株式会社には
取締役が1名、2名と
数名しかいない会社もあれば
10人、20人と
何名もいる大きな会社もあります。
前者の小規模な会社ならまだしも
後者のような大きな会社の場合…
株主総会では
社長は報酬1,500万円…
賛成!or 反対!
専務は1,200万円
賛成!or 反対!
常務は1,000万円
賛成!or 反対!
と、一人づつ
決めなければならないのでしょうか?
答え(結論)
この疑問は、
過去に裁判にまで発展し
判断されました。
答え(結論)から申し上げると
その裁判の判決主旨はこうです。
取締役一人一人の報酬は
株主総会で
決める必要はない。
株主総会では
取締役全員の
報酬“総額”を決定し
その決定された報酬“総額”の
具体的な配分は
取締役会(なければ取締役の決定)で
決めればよい。
つまり取締役が10人いる株式会社で
株主総会でその報酬を
総額1億円
と定めるだけに留めて
それを、
社長に2千万、専務は…
等と決めるのは
取締役会ですればいい。
というものでした。
なぜ、そのような
判決に至ったかというと
もともと、
取締役会の報酬を
株主総会で決めなければならない
というルールは
取締役が経営者の地位を利用して
会社の儲けを好きなだけ
自分のものにする
という、いわゆる
“お手盛り”“独占”を防止
することにある訳で
取締役の取り分の上限が
はじめから決まっているなら
その具体的配分をどうしようが
取締役以外の会社関係者である
株主や従業員の不利益には
ならないからです。
コンプライアンスや
ガバナンスの重要性が
叫ばれる世の中です。
会社には、“法を守る”
という社会的責任が
あることを忘れず
素敵な未来が溢れる
新しい事業年度を
迎えたいものですね!
では、また次回に。