株主総会での取締役の説明義務の程度は?
もくじ
今日のスマイル☻ブログは
行政書士として会社法の話題を☻
株主総会における取締役の説明義務
株式会社の株主総会は
会社の所有者である株主に対して
株主から会社の経営を
任されている取締役が
会社経営の現状や計画について
報告するための会議と
言ってもよいでしょう。
そのため、
取締役は、株主総会において
株主から会社の経営・運営について
質問された場合は
その質問に対して、
説明しなければならないと
会社法で定められています。
もし、取締役がこれを拒否したり
質問に対して必要な説明を
しなかったりすると
法令違反となり
株主総会決議取消事由となることも
同じく会社法で定められています。
しかし、もし
株主がどんな質問をしてもよく
取締役がその株主が納得し
かつ全ての株主が納得いくような
充分な説明をしなければならない
としたら
いろんな意見が入り乱れたり
会社の経営・運営の詳細な部分や
会社の機密事項等も
説明が必要になったりと
株主総会の収拾がつかなくなって
しまうかもしれません。
つまり、取締役の説明義務には
おのずと限界があるということです。
そうならないように
株主総会を招集し決議を求める
取締役側も、どこかで
“落としどころ”を見つけなけば
なりません。
では、この株主総会における
取締役の説明義務ですが
取締役は、どの程度、
どのようなレベルまで、
株主に対して説明しなければ
ならないのでしょうか?
判例
この疑問は、実際に裁判にて
次のような判例が示されました。
取締役の説明義務の対象となるのは
株主が会議の目的である事項を
合理的に判断をするために
客観的に必要と認められる事項に
限定される
つまり、株主は決議するために
合理性のない質問はさけるべきだし
取締役も
会議とは関係ない質問に対しては
説明する義務はない
ということが示された訳です。
また、
合理的な理解・判断が
できるかどうかを
客観的に判断するにあたっては
原則として
平均的な株主が基準とされるべき
とも示されました。
つまり、
他の株主より理解度が低い株主が
質問したとしても
取締役は、平均的な株主が
理解できる程度で説明すればよく
逆に、平均的な株主より
専門知識の高い株主が
平均的な株主が
理解しなくても別にいいような
かなり高度な質問を行い
説明を求めた場合には
取締役は、その専門性の高い株主が
理解できる程度で説明をすればいい
という訳です。
(若干の矛盾もありますが)
このような判例によって
株主総会がいたずらに長びいたり、
収拾がつかなくなるような事態に
ならないように防いでいるのですね。