取締役会の決議を経ないで社長が重要な財産の処分をしちゃった場合ってどうなるの?
もくじ
取締役会がある株式会社
取締役“会”が設置されている
株式会社において
その会社が保有している
重要な財産を処分する時は
取締役会で決議する必要があると
株式会社の運営のルールを定める
会社法という法律でも定められています。
“重要な財産の処分”とは
例えば、会社の総財産の中でも
その価額が大きな割合を占めるような
会社所有の土地や建物を
売って手放すといったことです。
※注、処分=捨てるではありません!
ただし、土地や建物はじめ
会社の所有物である財産を
処分する場合には
例えば売買契約書なんかにも
株式会社□□□□
代表取締役 〇〇 〇〇 ㊞
と書くように
代表取締役が
その契約(法律行為)を
することになります。
事実、会社法にも
代表取締役は、
株式会社の業務に関し
一切の裁判上、裁判外の
行為をする権限を有する
と定められています。
何か矛盾している気もしますが…?
では、
取締役会設置会社の
代表取締役が
取締役会の決議を得ずに
言わば勝手に
会社の重要な財産を処分
してしまった場合は
どうなって
しまうのでしょうか?
答え(結論)
この疑問に対して
裁判所が出した答えはこうです。
(最高裁昭和40年9月22日判決)
前提として、
取締役会設置会社が
会社の重要な財産を処分
する場合は
代表取締役が
取締役会の決議に従って
処分(契約などの法律行為)を
しなければなりません。
これは、法律に定められている
とおりです。
しかし、代表取締役が
取締役会の決議を経ないで
自己の判断で
会社の重要な財産を処分
した場合でも
その処分(契約などの法律行為)は
“有効”となります。
つまり、仮に代表取締役が
会社の重要な財産である
土地や建物を
勝手に、他社に
売り渡してしまっても
会社の他の取締役はじめ
会社の関係者は
『その土地建物の売買契約は
取締役会の決議を経てないから
無効だ!土地建物を返せ!』
と、原則として主張できない
ということになります。
ただし、
その場合でも
その売買契約の相手方
(土地建物を買った方)が
代表取締役が
取締役会の決議を経ないで
勝手にした契約
だと知っていたり、
知ることができたときに
限っては
その契約は“無効”
つまり無かったことになります。
従って、
無効となるということは
その土地建物は
会社に返されなければいけないですし
その代金も、買主に
そのまま返されなければなりません。
取締役は複数人いるけど
取締役会がない会社と
取締役会がある会社では
このような違いがありますので
重要な財産の処分時には
気を付けなかればなりませんね。