続・取締役会の決議事項『社内の会計規則』の変更は?
石川県で会社設立専門の行政書士をしております、行政書士法人スマイルの出見世です!
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ある企業様より、このような質問がございました。
『弊社は取締役会設置会社なのですが、
この度、社内の会計規則(会計業務を行う社内のマニュアルというニュアンスで捉えて結構です)を変更したいと思っています。
会計規則の変更は、取締役会の決議事項になるでしょうか?』
…という質問でした。
確かに、専門の法律家でもない限り、この手の疑問は、
本業の会社運営に従事されている会社の役員の方や、
従業員の方にとっては、そう結論が得られるものではないと思います。
私とて例外ではありません。
そこで、すぐに六法全書を持ち出して調べてみたところ…
…結論から言うと、この問題の結論は少しグレーなものでした。
まず、取締役会の決議事項については、
会社法362条によってこのように定められています。
第2項
取締役会は、次に掲げる職務を行う。
① 取締役会設置会社の業務執行の決定
② 取締役の職務の執行の監督
③ 代表取締役の選定及び解職
そして
第4項
取締役会は、次に掲げる事項【その他の重要な業務執行】の決定を取締役に委任することができない。
① 重要な財産の処分及び譲り受け
② 多額の借財
③ 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
④ 支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
⑤ 社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として会社法施行規則(99条)で定める事項
⑥ 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
その他株式会社の業務の適性を確保するために必要なものとして会社法施行規則(100条)で定める体制の整備
⑦ 定款の定めに基づく取締役会決議による役員及び会計監査人の会社に対する責任免除
このように、
これらの条文上は、『社内の会計規則』等の社内規定の変更などは、
具体的に取締役会の決議事項とは規定されていないようです。
しかしまた、
条文上では【その他の重要な業務執行】は取締役会で決議することと定められています。
従って、
今回の『会計規程等の変更』が【その他の重要な業務執行】にあたるか判断する必要がある訳です。
私の考えはこうです。(あくまでも私の考えですのでご理解ください。)
会社法436条において、
『計算書類・事業報告等は、会社によって作成され、監査を受けた後に、取締役会の承認を受けるものとする…』
とされています。
ということは、取締役会は計算書類をチェックしたり承認したりするのであって、
会計方法等の具体的な指示をすることは、取締役会の業務ではないとも考えられます。
従って
会計方法を定めたり、計算書類を作成したりする事に関しては会社がするものと考えられるため、
作成方法についても会社が決めても良いのではないかと考えます。
(※ちなみに、この場合の会社とは業務執行権のある役員、つまり代表取締役のことになると考えます)
このように考えた末、
今回の『会計規則』は、取締役会の決議事項にまでは該当しない…という解答となりました。
ただし、これだけグレーな感じであるため、
実務上では、迷っているのであれば取締役会で決議した方が無難であることも事実ですね。
以上、今回のブログはこの辺で…
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