定款作成前の出資は有効か?
もくじ
いきなりですが事例をあげて説明します。
とあるA株式会社を新たに設立するにあたり
発起人Bさんと発起人Cさんが
定款を作成したとします。
定款には
Bさんが600万円を出資すること
Cさんは300万円を出資すること
が記載されており
Cさんは前もって出資金の300万円を
Bさんの銀行口座に振り込みました。
そして、Bさんも、Cさんも
その定款に署名捺印をしました。
ところが、
BさんとCさんがケンカをしてしまいました。
Cさんは
『A会社設立をやめる!
出資した300万円を返せ!』
と言い出しました。
Bさんは
『Cさんは、定款に署名捺印をしたから、
もうこれは決まっていることなんだ!』
と反論しました。
さて、この場合ですが
Cさんは300万円を
返してもらえないのでしょうか?
株式会社の設立は
法律に則って行われます。
株式会社を新しく設立しようとする場合に
まず最初にしなければならないことは
定款
を作成することです。
これも法律によって定められています。
誰が代表者をするか決めなければ
始まらないだろう…
資本金を集めないと始まらないだろう…
というご意見もごもっともなのですが
その代表者(発起人や設立時役員)や
資本金を定めて書面にしたのが
定款
です。
ですから、
実務上は定款作成以前から
役員の選定や資金集めに動いていたとしても
法律上の株式会社設立の手順という点では
間違っていることになります。
株式会社の定款には
◆会社の目的
(会社がどのような商売を行うか)
◆商号(会社名)
◆本店の所在場所
(登記をどの市区町村でするか)
◆出資財産
(資本金の額など)
◆発起人の氏名・名称・住所
◆発行可能株式総数
(何株発行するか)
などを定めて
発起人全員がこの定款に
署名等(記名押印)をしなければなりません。
さらに、
ここからが大事です。
株式会社の場合、
発起人が定款を作成し
署名等を行った場合でも
定款作成前の行為は
効力がありません!
効力が生じないということは
無効
ということです。
先の例でいうと
確かにBさんもCさんも
定款に署名捺印はしたようですが
Cさんは定款の作成が完了する前
(定款に署名捺印する前)に
出資金をBさんに振り込んでいるので
これは出資金として効力が認められません。
つまりBさんはCさんに
300万円を返さなければなりません。
実務上でも
会社設立の登記を法務局にする際には
公証人の認証を受けた定款を筆頭に
出資金の払い込みを受けた
金融機関の通帳のコピー等
(払込み証明書)を
提出しなければなりませんが
主資金が払い込まれた日付は
定款の作成された日付以降でないと
登記は受け付けてもらえませんので、
株式会社の設立の際は
気を付けなければならないところです。
会社設立における
定款の作成
や
その他の必要書類の作成は
このように法律の則って
間違いなく作成しなければなりません。
もし、ご自身でなされるのに不安がある場合は
行政書士・司法書士にご依頼されることを
お奨めいたします。
行政書士・司法書士は会社設立の専門家です。
定款の作成から、公証人の認証を受けること等
あなたの代わりに行うことができます。
是非ご活用ください。