取締役委任契約書とは?
一般に企業における
“働き方改革”が進んでいるようではあります。
例えば
これまで一部の中小零細企業では
おざなりになっていたような
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“就業規則”“雇用契約書”の整備や
“労働条件通知書”の作成なども
法律に定められた企業の義務として
当たり前のようにやっていないと
企業としての評価が
問われる時代になっています。
(やっていなけりゃ、
いくら従業員の方が
いきいきと働いている企業でも
法令違反でブラック確定です。)
それだけ、会社に対し立場の弱い労働者の権利が
守られる時代になったのでしょう。
写真に深い意味はありません
ところで、
『取締役委任契約書』
というものを聞いたことがありますか?
確かに一般的にはあまり作成されていない
“契約書”になるかと思います。
あなたも耳にしたことのある
“雇用契約書”や“労働契約通知書”は
会社と
従業員(正社員やパートアルバイト)が交わす
書類です。
※このような従業員のことを
法律では“労働者”と呼びます。
(なのでこのブログでも以後労働者とします)
一方で、
“取締役委任契約書”は
株式会社と取締役が交わす書類です。
ここで、小学5年生でも知っておきたい
会社の大前提のお話をしますが
会社の取締役は
労働者の中の“偉い人”ではありません。
取締役と労働者は法律上
全くの別物です。
『えっ!?何がちがうの!?
うちの会社の課長だった人が
取締役に出世したけど
ほとんど仕事内容なんて変わらないよ!』
と思う人もいるかも知れませんが
法律ではしっかりと
取締役と労働者を分けています。
写真に深い意味はございません。
労働者は、その名の通り
会社に労働力を提供して
お給料をもらう人のことです。
それに対して“取締役”は
株式会社から(会社の所有者の株主から)
会社の経営・運営を
委任された(任された・かわりにやる)
人のことをいいます。
『取締役が会社にかわって
経営・運営をする…って!?』
とひっかかる方も多いでしょうが
そこは、これまで何度も
このスマイルブログでご案内したとおり
株式会社の持ち主(オーナー)は
社長ではなく株主であることを
理解していただければ
少しはわかり易くなるかと思います。
※したがって、合同会社には
“取締役”が存在せず、
株主(出資者)と社員(経営者)が必ず同じに
なるのでこのような“取締役委任契約書”は
必要ありません。
ちなみに取締役は労働者ではありませんので
かの有名な“労働基準法”は適用されません。
なので、会社が労働者を取締役に出世させ
仕事内容はほとんど変わらないのにも関わらず
残業手当を支払わなくてもよくする
といったようなトラブルも考えられる訳です。
話を本題に戻します。
本来、
取締役は株式会社のオーナーである株主から
とても信頼されて選ばれていることもあり
その信頼感からか
今回紹介させていただいた
“取締役委任契約書”など取り交わす
習慣などはなかったかと思います。
しかし、今日の”働き方改革“のように
『個人の権利はしっかり守ろう!』
というような風潮が強まりつつある日本では
各取引や契約ごとにおける
『契約書』の必要性が高まっています。
これまで、信頼感をバックグランウンドに
口約束だけの契約で終わらせていた
取締役委任のような契約も
しっかりと文章に落とし込み
書面として残しておくのが望ましいでしょう。
実際に
“取締役委任契約書”に記載する内容
で特に重要なのは
◆任期
◆職務内容
◆報酬
◆役員特有の規程
などです。
特に“職務内容”については
なるべく具体的に時間や権限等を
定めておかないと
先に紹介した残業手当の例のような
トラブルの発生も考えられます。
確かに、新しく就任される取締役から
取締役委任契約書の締結を求めるのは
なかなか難しいという諸問題もありますが
契約書なしの契約は
「百害あって一利なし」です。
是非、あなたの会社でも
取締役委任契約書を取り交わすことを
お勧めいたします。
契約書の作成は、
その道の専門家である
弁護士・司法書士・行政書士などに
ご相談されるとよいでしょう。
では今回はこれにて。